五感のほとんどが失われているという難役に挑んだ松阪は「視覚しかない役は演じたことがないので、最初はどういう風に演じたらいいのかわからなかった」というが、「例えば手や足の位置が視野の中に、ぱっと入ったときにわかるようにと監督のアイデアで、爪にマニュキュアを塗ったりしました」と工夫しながら臨んだ様子。
旅人は血のつながりない燈衣の父親代わりをしているが「撮影を終えてみて、すごく大きな経験をしたと思います。燈衣という娘の存在が僕をパパにしてくれて、陽子先生や雪路が家族にしてくれ…、血はつながっていないけど、自分が本當に信じるものが“本當だ”と思えば、それが真実になる、ということを教わった感じがします」としみじみ。「現場では皆が家族のような空気感で、燈衣ちゃんを中心に自然と集まって家族、作品を作っていた感じがします。燈衣がいてくれたから、助けられましたし、燈衣なしでは日暮旅人はありえないです」と感謝を込めた。